干杯!「黄酒入門」著者のdonこと門倉です。今回ご紹介するのは、中国南方の広東省で、甕(かめ)を藁(わら)で燻して造るというユニークな製法の酒です。
広東省の代表的な黄酒といえば、客家(はっか)に伝わる客家黄酒。広東省梅州の人里離れた大自然のなか、伝統的な客家黄酒と米香型白酒を造る酒蔵「Pearl Red Spirits & Wines Co Ltd(广东明珠珍珠红)」を訪れました(以下、パールレッドと略します)。
ここは美術館のような美しい外観と最新機器を備えた醸造環境、そして酒蔵にしては珍しい観光品質レーティングAAAとして認定されている現地の観光スポット。
梅州の街中も巡り、客家酒文化にたくさん触れた2日間。紹興酒とはまた違ったローカル黄酒の魅力を感じていただけたら嬉しいです!
11月なのに夏日!人里離れた梅州の山奥へ
前回ご紹介した「新たな価値を創出するボトラーズ黄酒」の酒造訪問の後、上海の虹橋空港から、広東省掲陽市にある掲陽潮汕空港へ飛行機で飛ぶこと2時間強。広東へ到着!
空港に到着すると、南方らしい湿度の高さを感じました。そして陽が強い!暑い! 訪れたのは11月初旬ですが、気温はなんと30度!長袖で過ごしていた私は汗が滲み、Tシャツで十分なぐらいでした。
梅州市は広東の北東部にあり、8つの県や市区が属しています。人口は約535万人で客家人が多く住んでおり、中国国内でも代表的な”世界客都”として知られています。
パールレッドがあるのは、その梅州市に属する興寧市。市の中に市がある、というのは混乱してしまいますが、興寧市は梅州市の管轄下にあり、特に客家文化発祥の地として知られています。
タクシーは高速道路をビュンビュン飛ばして梅州へ。風景は街から徐々に、山や畑などの緑へと移り変わっていきます。
この付近の建物は煉瓦造りの家が多く、家の入口には、春節に用いられる春聯(チュンリエン)が貼られています。どの家も、ずっと貼ったままのよう。ひと気があるようでないような、少し物寂しい感じもしました。
そんな景観を眺めながら、車はさらに山奥へ。山道をゴトゴト走る車に揺られながら、私の頭にふと、素朴な疑問が浮かびました。
「なぜこんな山奥に酒蔵を建てたのだろう?」
なぜなら、紹興酒の酒蔵は山奥ではなく街中にあるところが多いのです。パールレッドもまた、移転前の醸造場は街中にあったとのこと。なぜこんな山奥に移転したのでしょうか?